タイヤが外れて死ぬか生きるか、何がその一線を隔てるのか

  • 2017.10.22 Sunday
  • 15:22

元タクシードライバーがする裏話です。

今回は「タイヤが外れる事故」について。

(タクシードライバーの事を「タクシー乗務員」と呼びますので以下はそう書きます)

 

最近目立つようでニュースでもチラホラ見掛けますが、

ずっと前から、ああいう「タイヤが外れる事故」というのは起こっています。

怖いですねぇ。巻き込まれたらどうしようとか思いますよね。

それが普通。

 

さて、普通じゃないタクシー乗務員が実際に居たので、皆様はご注意を。

タクシー業界だけではなく、他の職業でも似たり寄ったりでしょう。

近くを走る車を運転中の時だけではなく、

タクシーを利用する際にも気をつけたいです。

と、言っても、最大限の警戒をすると、他人から馬鹿にされるでしょうね。

それでもやるか、どこまでやるかは、貴方次第です。

 

本来、タクシーに限らず、

車を運転する際には、出庫前点検をするべきです。

タイヤもその一項目ですね。

パンクしていないか、

溝は充分にあるか、

異物が刺さってないか、

それだけではなく、

ホイールのボルトが緩んでいないか、

錆びていないか、

しっかりと固定されているか。

これは、「当たり前」の点検であり、大前提なのですが、

これを怠っている運転手が多いのが現実です。

一般の運転手は特に怠りがちですが、

タクシー乗務員も怠惰な者が大勢居ます。

なのに事故に発展しないのは、単に運がいいだけです。

確率論的に言えば高確率で何も起きないので、普段から警戒心が緩んでいるのです。

 

さてさて、

実際に目の当たりにした体験談もしましょう。

ある日、同僚の乗務員が血相を変えて私に

死ぬとこだったぞ。謝れよ!」と

捲し立ててきました。

どうやら、高速道路を走行中に自ら運転中の車両のタイヤが外れかかって

恐怖の体験をしたらしいのですが、

その乗務員は、その日の出庫前に自らタイヤを交換して行ったのです。

私が話を聞いて、話を整理して、理解を求めようとすると、

ひと言、謝る事もできないのかっ!」と

逆上する始末で手が付けられません。

もうはっきり言って相手にしていたくない類いですが、

その体験の余りの恐怖に卒倒し、パニックを起こして

冷静な判断ができなくなっているのだろうと同情心も湧きました。

が、果たしてそんな精神的に弱い人間が、

人様の命を乗せて走るタクシー乗務員などやっていていいのでしょうか?

私はむしろ、そちらの気持ちの方が強く、

こんな人には今すぐ辞めて貰いたいものだと思いました。

…でも、辞めるように仕向けたり追い込みかけたりはしてませんよ。☆笑☆

 

順を追って説明しましょう。

その問題の車両は、前日に私が乗りました。

帰庫して洗車後、タイヤの空気が異状に減っているのに気付きました。

パンク、というほど完全にべったり潰れてはいませんでしたが、

確認するなり、交換するなりの作業が必要でした。

当然、本来は私の仕事です。

ですが、その時たまたま、

次にその車両に乗るその同僚の乗務員がもう出勤して来ていて、そばにいたのです。

私は「すぐに交換しますから」と最も早い選択肢を選び作業に取りかかりました。

まずは、交換用のタイヤを整備場から持って来る事です。

たまたま、専門の整備員がその場に居なかったのも運が無かったのでしょう。

私はもたつく訳にもいきませんから咄嗟に、

割と汚れていない奇麗なホイールに装着されているタイヤを選んで、

その車両のところに持って行きました。

すると、その問題の同僚の乗務員と、

もう一人別の乗務員が手伝って、既に元のタイヤを外す作業をやっていました。

私は「すみません。手伝ってもらって有り難う御座います」と言いつつ、

「整備員が居なかったから勝手に持って来ましたけど、これでいいんですかね」と

言いながら、持って来たタイヤを取り付けようとしたのですが、

その問題の乗務員が「いいよ、いいよ、やるから」と言って自ら取付をしました。

勿論、私は「私の仕事ですからやりますよ」と言って

少し割り込むような格好でやろうとまでしたのですが、

その問題の乗務員は私を押しのけ強引に自ら取り付け作業を行ったのです。

 

賢明な読者の方は、もう起承転結が読めますね。

そうです。

タイヤを選んで持って来たのは私。

それを実際に取り付けたのはその問題の乗務員です。

そのまま機嫌良さげに出庫して行くその問題の乗務員が運転するタクシーを見送って、

何事も無かったかのように、いや、何も気付かずにその日私は帰宅したのです。

 

翌日、私が出勤して来ると、整備専門のスタッフが

「昨日、かなりヤバかったみたいだぞ。ちゃんと謝っておけよ」と

早々に私に言って来ました。

当然、その時は何の事だか解らなくて、事情を聞くと、

なるほど事態は飲み込めました。

そこで、これこれこういう経緯だったんですよ。とその整備員に説明しました。

すると、「普通、ボルトを締める前にすぐ気付くぞ」と更に言って来るので、

私は念を押すように

「ですから、タイヤを持って行ったのは私ですけど、

取り付けたのが私ではないので気付きませんでしたよ」と言うと、

やや訝しげにその整備員は引っ込んだのです。

問題の乗務員の言い分と、私の言い分が食い違っているのだから仕方ないでしょう。

何に気付く筈だったかと言うと、

異なる車種のタイヤを私は持って行ったのです。

具体的に言うと、

ニッサンのセドリックなのに、

トヨタのクラウンコンフォートのホイール&タイヤを

持って行ってしまっていたのです。

この二つの車種のホイールのボルト位置には互換性がありません。

かなり近いので、ホイールが入ってしまいはするのですが、

ボルトがしっかりと締まらないのです。

私は確かに「やらかした」のですが

整備員の言う通り、取り付け作業をすれば、違う事にすぐ気付く筈だったのです。

ですが、既に書いた通り、本来は私の仕事だったのに、

私にはやらせてもらえなかったのです。

私が気付く機会を奪われてしまった、と言ってもいいかもしれません。

その時、そこにもう一人手伝っていた乗務員が居たのですが、

その人も取り外しは手伝っても、

取付は手伝わせて貰えなかったので、気付けなかったのでしょう。

また、当時はその車庫にある車両の殆どが、ニッサンのセドリックで、

トヨタのクラウンコンフォートは数台しかなかったので、

置いてあるホイール&タイヤが二種類ある事を普段から意識していなくても、

90%以上の確率で問題にならなかったのも運が無かったのでしょう。

まして、タイヤ交換など、日常的と言うほど発生する作業ではなく、

一年に一回出会えば多い方です。

なぜなら、パンク自体もそう高い頻度で起きるものではありませんが、

点検する事と、

正常な状態で次の乗務員に車両を渡す事は、乗った乗務員の責務ですが、

実際の交換作業は必ずしも自分でやる必要は無く、

整備員に言ってやらせても良いのです。

つまり、私自身も経験不足でしたが、その問題の乗務員も経験不足だったのでしょう。

それもまた、運が無かったのでしょう。

 

そんな幾つもの不運が一度に重なり、

しっかり閉め切れていないボルトで辛うじて留めただけのホイール&タイヤで、

出庫してしまったその問題の乗務員は、営業中に更に運に見放されたのです。

一般道を走っている時に、或はもっと早い時点、

出庫してすぐに異変を感じていれば、大事にはならずに済んだのでしょう。

そうすれば、

あんなに血相を変える程のパニックを起こさずに済んだのかもしれません。

ですが、運の無い事に、高速道路を走行するまで、異変に気付かなかったのです。

高速道路を走行していると、「ゴトゴトゴト」と凄い音と振動がしたのだそうです。

そして、車両を止めて(恐らくは安全地帯か一般道に降りてから)点検してみると、

その問題のホイールが外れる寸前までボルトが緩んでいたのだそうです。

さぞや恐怖した事でしょう。その心境は同業者なら容易く察する事はできます。

ですが、そこでその乗務員は、恐怖のあまりパニックを起こして憤慨し、

その捌け口を私に向けてしまったというわけです。

 

私がここで提示したいのは、

私とその問題の乗務員と、どちらに責があるとか、

誰が間違っているとかを判定する事でも、白黒付ける事でもありません。

ましてや、相手をやり込めたり、言い聞かせる術を論じたいわけでもありません。

「そういう事もある」という現実を知り、

警戒を怠らない事が自身の命を護る事になるのだという事を、私は言いたいのです。

間違ったホイール&タイヤを持って来てしまう乗務員が居て、

自分の仕事ではないのに進んでやってしまう乗務員が居て、

触っても車種が違う事に気付かない乗務員が居て、

そばで作業を見ていても気付かない乗務員が居て、

たまたま席を外していて立ち会えなかった整備員が居て、

運転していても異常に早急に気付けなかった乗務員が居て、

経験不足な乗務員が三人も居て、

尽く運に見放された乗務員が居て、

恐怖のあまりパニックを起こして冷静な判断が出来なくなる乗務員が居る、

という現実です。

当事者の一人である私がこんな事を言ってしまうのは烏滸がましいのですが、

誰かがはっきりと言うべきだと思いますので、言わせて頂きます。

こんな有様で事故が起きないわけがない

むしろ、高速道路を走行している真っ最中に、本当にホイールが外れてしまって

大事故にならずに済んだのは、不幸中の幸い。

最後に残っていた僅かな幸運に命拾いしたと言っていいでしょう。

そう。

その問題の乗務員は、「運だけ」で生き残ったのです。

勿論私も。「運だけ」で業務上過失致死を問われずに済んだのです。

 

ですが、考えてみて下さい。

いや、賢明な読者の方なら、私ごときが説き伏せなくとも既に言っているでしょう。

「やる事を全てやっていれば、起こらなかった問題だ」と。

その通りです。

経験不足だったとしても、うっかり違うホイール&タイヤを持って来ても、

やるべき人間がやるべき事を忠実にやっていれば、

この問題は発生しなかったでしょう。

いや、気付く機会は何度もあった筈です。

どれか一つでもカードが揃っていなかったら、この事故は成り立たなかった筈です。

そう。

それが現実なのです。

 

読者の皆様も、

運転する立場であれ、

利用する立場であれ、

脇を歩いている立場であれ、

こんな現実が世の中なのだという警戒心を持っていれば、

いち早くその身に降り掛かる危険に気付き、避ける事もできるでしょう。

そう。

何がその一線を隔てるのか

幸運をただ待つだけではありません。

その幸運を引き寄せる不断の積み重ねが幸運を引き寄せるのです。

 

 

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